デルフィニア戦記 第Ⅰ部 放浪の戦士3 茅田砂胡 中公文庫 2003年3月15日
- 作者: 茅田砂胡
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2003/03/01
- メディア: 文庫
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今回はウォルの養父、フェルナン伯爵を人質に軍の解放を迫るペールゼン。ウォルは悩みぬいた末(自分で行くか、リィに頼むか悩んでた)にリィに伯爵救出を託すことに。そして、フェルナン伯爵の救出作戦が始まる。というのが今回のメインかと。
では、感想。前回で国王軍の捕虜になったルカナン大隊長について。彼は元々ペールゼン側の人間なのですが、なかなか憎めない人物かと。ウォルとかリィとかのように特別魅力的って訳ではないのですが、彼の性格はいかにも職業軍人って感じでよかったです。特に、成り行きでリィのフェルナン伯爵救出を手伝うことになるのですが、その時のやりとりが面白かったです。
で、そのフェルナン伯爵について。これは胸にジーンと来るものがあります。特に寺院でのリィとの会話、独白は場面場面が浮かび上がってきてとても良かったです。個人的にはフェルナン伯爵とドラ将軍の若い頃の話が堪らなかったです。伯爵が語った言葉そのものは、ごく少ないものなのですが、どうしようもないくらいの懐古感、懐かしさが込み上げてきました。
終盤、快進撃を続ける国王軍にまたも大きな事件が起こります。このあたりの続きが気になる見せ方はうまいな〜と思ったりしました。
印象に残った台詞じゃないけど(以下反転)―<そんな分不相応なことはほんの一瞬しか考えなかったと、堂々と反論した>―ルカナンの事を示している一文。彼は同じ格の人間(一般的な評価が低い人間)が、ペールゼンへの寝返りで出世したのを怒っていたが、それをリィが嫉妬も含まれているのではと指摘。その時の台詞(?)。彼の面白い性格の一端が見れるかと(笑)。なかなか好人物です。