藤堂家はカミガカリ

藤堂家はカミガカリ 高遠豹介 電撃文庫 2008年2月25日

藤堂家はカミガカリ (電撃文庫)

藤堂家はカミガカリ (電撃文庫)

☆☆☆☆☆☆
 人間界とは別の世界「ハテシナ」に住む<ハテビト>である建代神一郎と天霧実琴は、仕事の為に人間界へとやってきた。仕事の内容は ある少年の護衛。2人はその少年・藤堂周慈と双子の姉・春菜が住む家に、なかば強引に居座る。そして――。
 第14回電撃小説大賞<銀賞>受賞作『藤堂家はカミガカリ』です。これはなかなか面白かったですね。登場人物たちのやり取りが楽しかったです。
 最初はちょっと設定に戸惑ったりしました。人間界とか、「ハテシナ」とかあったから、てっきりもっと違った世界を想像していたのですが、実際は「似て非なる世界」といった感じで2つの世界はほとんど同じのようです。なので、そのことに気付くまでちょっと混乱した部分もありました。
 また、時折文章が、誰のことを指しているのか分からなくなることもありました。
 と、そんなことを書いていますが、そういった点を些細なことを言えるくらいに、登場人物たちのやり取りが良かったですね。テンポがよくて、軽快な掛け合いとでもいうのでしょうか、登場人物たちのどこかコメディっぽいノリが面白かったです。特に主役の神一郎と美琴が良くて、2人の会話は、読んでいてすごく楽しい。
 この2人の間には恋愛要素的なものは今のところなさそうだけど、なんだかんだで息がぴったり合っているのがいい感じです。ナイスコンビだ。
 まとめ。話そのものはシリアスだけど、どこかコメディっぽいやり取りが楽しかった作品。シリーズモノということで、これからの展開も楽しみです。