円環少女2

円環少女 サークリットガール②煉獄の虚神(上)長谷敏司 角川スニーカー文庫 2006年3月1日

円環少女 (2) 煉獄の虚神(上) (角川スニーカー文庫)

円環少女 (2) 煉獄の虚神(上) (角川スニーカー文庫)

 その世界は、魔法を無効化する人類が住まうことから、幾千もの魔法世界から<地獄>と呼ばれていた。そんな地獄には、もとの世界で犯罪を犯した魔導師達が堕ちてくる。鴉木メイゼルも、そんな罪を背負った刻印魔導師の一人である。小さな刻印魔術師は、その罪を償うために、この地獄で戦う――。自由になることを夢みて。
 円環少女第2巻です。今回は上下巻構成で話がすすみます。で、感想。前回同様、面白いですね〜。まず、序章(?)として、仁とメイゼルの最初の出会いが描かれていたのが印象的でした。
 それはそうと、やっぱり今回もメイゼルが良かったですね。普段の強気な態度の裏に、見え隠れする不安。そんな不安を振り払うために、戦うことを決意。決して曲げないその一直線なところが魅力的ですね。あと、仁を手玉にとってるあたりも(笑)。
 また、仁も良かったですね。メイゼルを守りたいと思う。だけど、守られるということをメイゼルは嫌う。そんなメイゼルを分かっているからこそ、どう接するのがいいのか悩む。そんな感じが良かった。
 それにしても終盤の展開が印象的でした。怒りに燃える仁が非常に格好良かったですね。ただ、それよりも、その時のメイゼルがなんとも。さらに終盤の挿絵は衝撃的というか、なんというか、反則です(笑)。この挿絵効果もあってか、読んでいて切ないですね。
 これからどうなるのか、続きが楽しみです。
 印象に残った台詞(以下反転)―「ちがうわ。あたしが猫なら、せんせはネズミよ。見てるだけで大好きだって、本能がうずくんだもの」―メイゼルの台詞。これだけだと嗜虐心旺盛なメイゼルの一場面ですが、この言っているときの状況を考えると、この台詞の意味ってかなり深いように感じます。なんとも切なくて、とても印象に残った台詞でした。