倒凶十将伝(4)

倒凶十将伝 巻乃四 庄司卓 ソノラマ文庫1996年5月31日

倒凶十将伝〈巻之4〉 (ソノラマ文庫)

倒凶十将伝〈巻之4〉 (ソノラマ文庫)

 現世魔王復活の鍵となる閃輝真刀を持ち出し、渡目沖村(とめおきむら)を出奔した破軍。その破軍を追って、凶魔『穿』と自衛隊の白金一(一将)が動き出す。
 一方、破軍に手も足もでず敗れた十斗は苛立ちを募らせていた。そんな折、十斗のもとにかつて母親を殺害した凶魔の存在が浮上する。怒りに燃える十斗は、母親の仇、凶魔『穿』を討てるのか。そして、閃輝真刀は誰の手に――。
 段々と盛り上がってきた倒凶十将伝の第4巻。今回はなんといっても、閃輝真刀を持ち出した破軍とそれを追う『穿』と、それを監視している自衛隊(白金)、さらには母親の仇を追う十斗と、様々な人物達がそれぞれの思惑で動いてるお話。幽将も10人全員が出揃っているので、これから物語が加速していく感じかと。 
 で、感想。前読んでいた頃は気にならなかったのですが、一将こと白金さん。理想や目的はともかくとして、閃輝真刀を手にしたところで、あまり優位にたてないのではと思ってみたり(苦笑)。それはそうと、個人的に破軍のお兄さんの貪狼(とんろう)さんが格好いいですね〜。奈々緒との微妙な絡みが好きだったり。
 あ、あと壬吾と葉霧。貴重な倒魔術を、タバコの火を消すのに使うのはどうなんだ(笑)。
 まとめ。今回で、離れ里で隠居しているあの人とか、親父様とか、割と重要で個人的に好きな人達に動きがあるので、これからが楽しみです。
 印象に残った台詞(以下反転)―「ならば私は一生、人の上に立つべきではありませんな」―貪狼(とんろう)さんの台詞。人の上に立つ男・白金を前に言った言葉。この作品って、こうした大人達(まあ、大人といっても若いですが)の会話が、結構印象に残る気がします。